Logo
  • Chartbeat
  • tubular
  • 会社概要
  • お問い合わせ
  • ニュースレター購読
ximera.com

Chartbeat

tubular

会社概要

お問い合わせ

ニュースレター購読

©︎Ximera Inc.

XYouTubeFacebook
ximera.com
/
contents
/
販売時間を拡張するAIネイティブコマース

販売時間を拡張するAIネイティブコマース

販売時間を拡張するAIネイティブコマース

見た目が派手なAIクローンだけではない、AI接客・PDCAが一体化されたコマース支援の仕組みをアジアと欧米の成功事例から学ぶ。

はじめに

本連載では、ライブコマースの成長性や、デジタルクローンがメディアにもたらす変化などを扱ってきました。この1-2年でこの2つの領域が融合してAIクローン/エージェントとコマースが結びついたAIネイティブなコマースの事例が出現しはじめています。

2024年のライブコマースのマーケットサイズはグローバル全体で約1,284億ドル(約19.2兆円)と見積もられており、2025年以降も高い成長率で増えていくと予想されています。

そんな状況の中で中国で2024年頃からAIライブコマースの事例が出現しはじめています。中国eコマース企業で第二位であるJD.com(ジンドン)の創業者・劉強東氏は自身のAIクローンを2024年4月にライブ配信上で登場させ、

開始1時間以内に 2,000万ビュー、配信全体で 5,000万元(約11.6億円) の売上を記録した

と報じられています。またBaiduは、中国の著名な起業家兼インフルエンサーの羅永浩氏のAIクローンを開発し2025年6月にライブ配信を行い、

1,300万超の視聴と5,500万元超(約12.8億円)のGMV

を生み出しました。

image

JD.com(ジンドン)の創業者・劉強東のAIクローンによるライブコマース

出典: JD.com

これらの成果は、AIアバターが単に顔や声が人間らしくなったから生まれたわけではありません。商品情報から台本を作り、コメントへ応答し、在庫や販促条件に沿って訴求を変え、配信後に何が売れたかを分析し、次回の改善へ回す仕組みがあって初めて成立します。つまり、重要なのはAIアバター単体ではなく、配信・接客・販売・改善を一体化した仕組みにあります。

アジアではAIライブコマース配信の本番実装が先行し、欧米ではまず自社サイトやアプリ上のAI接客が先に商用化される(必ずしもライブコマースではない)、という地域差があります。本稿では、その事例として AnyMind Group と Firework の2社を取り上げます。前者はアジアでAIライブコマースをオペレーションまで束ねるプレイヤーであり、後者は欧米で動画コマースとAI接客をオウンドチャネルに埋め込むプレイヤーです。これらの事例によってコマースの未来がどうなるのかを見ていきます。

AnyMind Group : アジア横断のAIライバー x ライブコマース運営

AnyMind Groupは2016年創業の日本のBPaaS(Business Process as a Service)企業で、2023年に東証グロースへ上場しました。上場前までの累計調達額は9170万ドル(約147億円)と公表されており、創業以来、マーケティング、EC、物流、クリエイター支援を横断するプラットフォーム群を展開してきました。ここで重要なのは、同社の成り立ちが動画生成会社ではなく、ブランドの事業運営を支援してきた企業であることです。

AnyMindが2024年9月に立ち上げたのが、生成AIライブコマース基盤の AnyLive です。英語、中国語、インドネシア語、タイ語、マレー語、ベトナム語、タガログ語に対応し、その後2025年6月には日本語対応も加わりました。AIライバーによる多言語配信、商品情報からの台本自動生成、コメントへのリアルタイムAI応答、複数プラットフォームへの同時配信までを一つの仕組みとして持っています。Amazon、Shopee、Lazada、AliExpress、TikTok Shop、Instagram、YouTube、Facebook、Xなどへの接続も打ち出しており、アジアの断片化した販路を横断できる設計となっています。

AnyMindが解こうとしている課題は、アジアのライブコマース市場における言語差、文化差、現地法規制、配信人材の不足です。人間のホストだけで複数言語・複数地域・複数プラットフォームへ同時展開するのは絶対的にスキル・ノウハウ・工数が足りません。そこでAnyLiveは、ピーク時間帯を人間、オフピーク時間帯をAIが担うハイブリッド運用を前提に、配信時間そのものを伸ばしながらGMVを積み上げる設計を採っています。AIライバーはスター配信者の代替ではなく、稼働時間と販売密度の最大化のために使われています。

タイのSino-Pacificによるevianのライブコマース案件では、AnyLive活用前との比較で売上が 3.5倍、配信コストは 90%削減、総配信時間の9割超をAIライバーが担い、売上の 8割超 がAIライバー稼働時に生まれたとされています。さらに、2025年6月にはボディケアブランドBeNiceがAnyLiveを活用しTikTok Shop売上が 7日間で2倍、2026年1月にはタイのRider Insurance BrokerでAIライバーを用いた情報配信が初回12時間で オーガニック視聴者1,000人超 を獲得しています。このように業種も飲料、美容、保険など適用範囲が広がっています。

プロダクト面でも、AnyMindは「配信して終わり」ではなく改善ループをかなり重視しており、ライブ配信の文字起こし、データの自動収集・分析、スクリプト最適化など様々な機能を強化しています。AnyLiveはアバター作成ツールというより、ライブコマースのPDCAを回す営業支援システムに近いです。

収益モデルについては、AnyLive単体の公開料金表は前面に出ていないため推測になりますが、同社の収益はSaaS利用料だけでなく、BPaaSとしての運用支援、キャスティング、分析、越境EC支援を含めた 個別提案型 で設計されていると思われます。

Firework : オウンドメディアにおけるAIショッピングエージェント

image

Fireworkはオウンドメディアにショッパブル動画を埋め込み

AIエージェントでの購入支援までカバー

出典: Firework

Fireworkは2017年創業の米国スタートアップです。オウンドメディア内の動画から購入体験につなげる「ショッパブル動画」をソリューションとして提供しており、1500以上の様々なブランドと提携しています。Fireworkはコマースの機能をSNS内ではなく、オウンドメディア内に組み込める動画コマースとして伸ばしてきました。

同社は、ライブコマースやショッパブル動画をブランド自身のWebサイトやアプリ、メール、SMSなどへ埋め込みを可能にし、顧客データを自社で保有したままコンバージョンを伸ばすことを支援してきました。中国のようにプラットフォーム上で販売する発想とは違い、自社チャネルを強くするための動画コマース基盤を提供する方向です。

Fireworkが2025年に前面へ出し始めたのがAI Shopping Agentです。この機能は商品詳細ページにおいてAIがユーザーの質問に答え、関連商品を提案し、購入完了までを支援します。テキストFAQを並べるのではなく、商品詳細、レビュー、動画、チュートリアルを会話の中で提示しながら、迷っている買い手を前へ進める設計です。上述のライブ配信におけるAIライバーとは見た目が違いますが、本質は同じで、AIによる疑似接客の自動化 です。

AI Shopping Agentの海外ブランドにおける導入実績として、カート追加率が6.4%から31.2%、コンバージョン率が2.0%から13.5%、顧客満足度が60から82へ改善したとしています。またスキンケアの処方箋を遠隔医療で提供するプラットフォームのMuselyの解約抑止の事例では、AI対話導入後に全体解約25%減、アプリ解約46%減、22倍のROI が示されました。。

Fireworkのショッパブル動画系の料金は Pilot / Starter / Growth / Pro / Enterpriseと細かく階段が分かれており、カスタマイズ性や動画アップロード/視聴の上限とより便利に使えるための追加機能の違いがあります。AI Shopping Agentは料金は公開されておらず個別商談必須となっています。少なくとも同社は、ブランド向けのSaaSとして階段型の料金設計を持ち、必要に応じてエンタープライズ機能やAIアドオンを積み上げるモデルを採っています。

Fireworkの事例が示しているのは、コマースの未来は必ずしも「AIによる24時間ライブ配信」だけではないということです。商品詳細ページ、縦型ショート動画、1対1の会話型接客、ライブ配信の切り抜き再利用、こうした体験がすべて連結され、AIがフロントに立つ方向性も提示されています。

まとめ

AnyMindとFireworkを並べると、AIネイティブなコマースにおける共通点がいくつかあります。

第一に、いずれも一見AIが派手に見えますが、それをメイン商材としているわけではないことです。AnyMindは多言語配信、プラットフォーム連携、台本、分析、キャスティングまで持ち、Fireworkは動画、AI接客、価格設計、1st party data活用を束ねています。両社とも、実態は動画経由の販売の仕組みを作っています。

第二に、運用を完全にAIに置き換えるわけではなく、ハイブリッドな運用余地を残していることです。AnyMindのevian案件では配信時間の大半をAIが担いながら、人間ホストも併用しています。深夜帯や長時間運用をAIが担い、人間がピーク時に入るハイブリッドが有効に機能しています。今すぐフロントをAIへ置き換えることが正解なのではなく、人間を効果的に活用する時間帯を残しつつ、AIで販売時間を拡張することが現状の最適解だと考えられます。

メディアが持つ強みは、元々コンテンツを作ることと、読者や視聴者との接点を持つことにあります。そこへ今回取りあげたAI接客やAIアバターライブ配信を重ねると、コンテンツは認知獲得の装置から、コンバージョン完了まで進める装置 へ変化させることができます。その世界観に移行すると、編集や配信のKPIもPVや再生数だけでなく、会話の質、CVR、再訪率、サブスクやグッズの購入完了率へ再設計することも考えられます。

最新の記事

デッドエンドページの解消とリサーキュレーションの最適化デッドエンドページの解消とリサーキュレーションの最適化
デッドエンドページの解消とリサーキュレーションの最適化
2026年のパブリッシャー戦略を成功させるために:複数ページへの訪問を促し、ソーシャル動画を活用2026年のパブリッシャー戦略を成功させるために:複数ページへの訪問を促し、ソーシャル動画を活用
2026年のパブリッシャー戦略を成功させるために:複数ページへの訪問を促し、ソーシャル動画を活用
販売時間を拡張するAIネイティブコマース販売時間を拡張するAIネイティブコマース
販売時間を拡張するAIネイティブコマース
フィジカルAIで自動化されるコマース物流フィジカルAIで自動化されるコマース物流
フィジカルAIで自動化されるコマース物流
Chartbeat新機能のお知らせ:SNSの反響をサイト流入につなげる「Social Hub」Chartbeat新機能のお知らせ:SNSの反響をサイト流入につなげる「Social Hub」
Chartbeat新機能のお知らせ:SNSの反響をサイト流入につなげる「Social Hub」
AI導入によるビジネス成果創出のアプローチAI導入によるビジネス成果創出のアプローチ
AI導入によるビジネス成果創出のアプローチ
Q4 2025:世界のオーディエンス動向Q4 2025:世界のオーディエンス動向
Q4 2025:世界のオーディエンス動向
シリーズコンテンツがいかにYouTubeでのロイヤルティを高めるかシリーズコンテンツがいかにYouTubeでのロイヤルティを高めるか
シリーズコンテンツがいかにYouTubeでのロイヤルティを高めるか
2025年のメディア/コマーストレンドを振り返る2025年のメディア/コマーストレンドを振り返る
2025年のメディア/コマーストレンドを振り返る
AI時代のオーディエンス動向AI時代のオーディエンス動向
AI時代のオーディエンス動向

配信登録

Magnet Newsletter 配信登録*

メールアドレス

https://mailchi.mp/ximera/magnet-newsletter
https://ximera.com/お問い合わせ
image

株式会社キメラ(英語表記: Ximera, Inc.)

〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23番17号

会社概要