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「行きあたりばったり施策」から卒業しよう。ファネルを意識したロイヤルティ育成のヒント

「行きあたりばったり施策」から卒業しよう。ファネルを意識したロイヤルティ育成のヒント

こんにちは、株式会社キメラと申します。私たちはパブリッシャー(出版社・新聞社・放送局)に対し、メディアビジネスをグロースするための課題解決やデジタル化をご支援しているスタートアップです。

メディアでいかにファンを獲得し、購読や購買につなげていくかの問いは多くのパブリッシャーにとっての課題です。施策が行きあたりばったりになってしまい、期待する効果を得られていないお悩みもよく耳にします。そこで今回は、効果的なマネタイズを実現するための施策はどう作っていけばよいのか。そのヒントをお届けします。

読者の成長を「ロイヤルティ」と「ファネル」で把握する

メディアに限らず、顧客が商品の購買に至るまでの行動にはいくつかの区切られた段階が存在します。それをマーケティング用語で「ファネル」といいます。

顧客のファネルを前進させて購買に結びつけるためには、ロイヤルティと呼ばれる、ブランドに対する認知や愛着の度合いを高めていくことが効果的です。メディアにおいても、有料購読者は未購読者に比べて訪問頻度が高く、1記事あたりの滞在時間が長い――つまり、メディアに対するロイヤルティが高いことが明らかになっています。

メディアに訪れた「一見さん」がロイヤルティを高め、そのメディアを通して購買するまでの行動を、ファネルを使って表したのが以下の図です。

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このように、「メディアに対する読者のロイヤルティを高めて、(図の右に向かって)ファネルを前進させる」マーケティングの考え方を持っておくことが重要です。

施策が行きあたりばったりになってしまうのは、目的意識があいまいだからです。何をすれば読者がひとつ先のフェーズに進んでくれるか狙いを定めながら打ち手を考えていくことで、効果の高い施策を生み出せるようになります。

ファネルを育てるために施策を使い分けよう

ここからは、読者のファネルを前進させるための施策について具体的に考えてみましょう。有効な施策はファネルの段階ごとに変わってきます。以下の図にマッピングしました。

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認知〜初回訪問フェーズ

  • 外部Webポータル(Yahoo!やSmartNewsなど)
  • 検索エンジンからの流入
  • イベント

初回訪問〜再訪問フェーズ

  • ソーシャルメディア(Twitter、Facebook、Instagramなど)
  • ニュースレター
  • 検索エンジンからの流入
  • イベント
  • 回遊を促すWebサイトの体験設計

再訪問〜ロイヤルフェーズ

  • 独自性の高い記事コンテンツ
  • ニュースレター
  • スマートフォンアプリ、コミュニティ
  • 検索エンジンからの流入
  • イベント
  • 回遊を促すWebサイトの体験設計

ロイヤル〜購買フェーズ

  • デジタルサブスクリプション(有料購読)訴求
  • 紙面の購読訴求
  • コマースへの誘導
  • イベント
  • 購買を妨げないWebサイトの体験設計

各フェーズでおさえたいポイントを解説します。

1. 認知〜初回訪問フェーズ:偶然の接点をいかに増やすかがポイント

認知〜初回訪問フェーズは、あなたのメディアを知らない・接点がない読者に対し、いかに接点をつくるかが焦点です。Yahoo!やSmartNewsなどの外部プラットフォーム、タイムラインにコンテンツが流れてくるSNS、検索ワードを起点に流入するトラフィックなど、読者が意図していなくてもコンテンツに触れてもらえるチャネルを持つことが大切です。著名人やコンテンツを起点に関心を惹きやすいイベント開催も有効でしょう。

注意点として、認知〜初回訪問フェーズだけに施策を注力しすぎないようにしましょう。このフェーズの成果はPV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー)で可視化しやすい反面、その後の「再訪問」「ロイヤル」フェーズに進める意識が希薄なままだと、穴の空いたバケツのように自転車操業的なユーザー獲得に奔走することになってしまいます。

2. 初回訪問〜再訪問フェーズ:回遊と再訪問を促すエンゲージメント戦略が必要

メディアへのロイヤルティを醸成するプロセスは、飲食店の「常連さん」づくりと似ています。初回の訪問で「また来たい」と思える体験を与え、再び足を運んでもらい、訪問のペースを高めて定着してもらう……このプロセスで最もハードルが高いのは、もう一度お店に来てもらうことでしょう。皆さんの生活を振り返ってみても、一度だけ訪問して終わってしまったお店は数え切れないほどあるはずです。

多くのパブリッシャーが壁にぶつかるのも、この「再訪問」を促すフェーズです。Chartbeat社の調査によれば、メディアに訪れた読者の60%以上は1週間以内に再訪問しない――つまり、過半数が二度と戻ってこない「一見さん」であることが明らかになっています。

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偶然メディアに訪れた「一見さん」の心を掴むために大切なことは、以下の2点です。

・サイトを回遊してもらい、1回の訪問あたりの接触するコンテンツを増やす ・メディアブランドを継続的に意識できる接点(メルマガ、SNS、イベントなど)を持つ

読者がメディアブランドを意識し、メディアと積極的に関わる体験――つまり、「読者エンゲージメント」を高める体験設計が重要なのです。

3. 再訪問〜ロイヤルフェーズ:「ここにしかない」を継続的に提供しよう

次のフェーズがメディアにとっての「常連さん」づくりにあたるフェーズです。メディアに再び訪問した読者を定着させ、訪問頻度を高めることでロイヤルティを高めることができます。

そのためには、上段で紹介した一見さんを掴むための2点に加え、以下のような取り組みが効果的です。

  • 継続的な訪問を生むコンテンツ(連載、特集ページなど)を提供する
  • 独自性が高く、かつ読者の関心に応えるコンテンツを提供する
  • アプリ、コミュニティ、読者向けの限定イベントなど、読者を囲い込む場づくり

再訪問を促すエンゲージメント戦略に加えて、「このメディアにしかない強み」を継続して提供し続けることで訪問頻度を高めることが重要です。

4. ロイヤル〜購買フェーズ:取りこぼしを防ぐ体験設計を

ロイヤルティの高い読者を購買に結びつけるには、ただ割引を行うだけでは単なる価格競争の世界に陥ってしまいます。「購買への納得感」「購買体験のスムーズさ」をいかに設計するかが重要です。

実際に会計・経営コンサルで知られるKPMGの調査によると、ロイヤルティの高さを保つ要因として、価格(Pricing)よりも「値段に対する納得感(Value for money)」や「購買体験の容易さ(Easy shopping experience)」が上位をマークしています。

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KPMG

デジタルメディアに限らず、サービス内容は充実しているにもかかわらず、購買に至るまでの体験設計がおざなりになっているために購買のとりこぼしが起きている事例は多々あります。

世界で最もデジタルサブスクリプションに成功しているNew York Timesは、ペイウォール(=記事内の課金障壁)のテストと改修を幾度となく繰り返しています。フランスの新聞社Le Mondeは、2018年に実施したサイトのリニューアルにより、有料購読へのコンバージョン率(CVR)が46%も増えたといいます。

マネタイズの手段を設けて終わりではなく、データをにらみながら購買に至るまでの体験の改善を続けていくことが重要です。

アイデアは軸のある戦略によって輝く

今回は、ロイヤルティのファネルを意識した施策のポイントをご紹介しました。メディアの施策を考えようとすると「こんなサービスをやりたい」「あのツールを導入したい」とあれこれとアイデアを膨らませたくなるものです。

しかし、アイデアありきで施策を展開すると、行きあたりばったりで効果検証がしにくい施策に終わってしまいます。目的意識をもつことでアイデアや創意工夫に一貫性をもたせ、成功体験につなげましょう。

今回のブログは以上です!少しでも皆様のお悩みを解決するヒントになれば幸いです。今後も、パブリッシャービジネスに役立つ知見や事例をご紹介していきます。

Akiko Nakayama

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