ユーザートラッキングに暗雲(2019/12/12)

こんにちは。キメラです。このnoteは弊社のニュースレターで過去に配信した記事を再編集したアーカイブです。ニュースレターではパブリッシャーの方々に向けて国内外の注目ニュースをご紹介するほか、キメラの最新動向を隔週でお届けしています。最新号を受け取りたい方は、ここから登録できます。

1.ユーザートラッキングに暗雲

個人の行動・閲覧履歴データを追跡し、そのデータをもとにユーザーに合わせた広告掲出やオファーを行うトラッキング施策は、長らくウェブマーケティングの定石とされてきました。

しかし、2018年5月にEUで施行が始まったGDPR(一般データ保護規則)はウェブの閲覧履歴も「個人情報」と定義しており、海外ではCookie(クッキー:ウェブの閲覧記録データ)を利用したトラッキングに「待った」がかけられています。

今回はパブリッシャーの広告掲載やサブスクリプション訴求を考える点で避けては通れない、このトピックについてご紹介します。

プライバシー保護の文脈から、SafariやChromeといったブラウザが第三者企業のCookie利用に規制を設けています。この前段となるGDPRの説明やメディアビジネス与える影響、今後の展望までを概説する記事です。

日本も海外に追随し、Cookieを第三者が利用する際にユーザーの同意を義務化を検討しています。政府の個人情報保護委員会は、2020年の個人情報保護法の改正検討にあたり、新たなルールとして盛り込もうとしています。

こうしたトラッキングにおける課題に対し、対策を講じているパブリッシャーの例が報じられています。

「New York Times」や「Hearst Newspapers」は、Cookieに頼らずにユーザーの情報を収集するため、会員登録を促すウォールを設けています。登録ウォールはサイトのトラフィックを短期的に減少させる懸念もありますが、「身元の判明しているユーザーの有料会員登録率は、匿名ユーザーに比べて10倍も伸ばせる」とのデータも記事内に示されています。また、欧州では、GoogleとFacebookによる広告寡占(デュオポリー)に対抗するため、パブリッシャー同士が共通の会員IDを設ける「ログインアライアンス」が進んでるとも報じられています。

2019年11月20日、「New York Times」はFacebookとTwitterの追跡タグの利用をやめることを明らかにしました(少数のマーケティング施策用ページを除く)。今後は自社開発のマーケティングツールを用い、ブラウザの閲覧履歴を取得せずに潜在的な有料購読者をターゲティングするそうです。同社のチーフデータサイエンティストは「私達は人のトラッキングをやめて記事のトラッキングに移行する」と述べています。

2.海外パブリッシャーの最新ニュース

2019年12月11日、米ビジネス誌「Fortune」が2020年1月からデジタルのサブスクリプションを開始することが明らかになりました。現在、同社の収益は60〜70%が広告掲載・スポンサー収入ですが、サブスクリプションが3年以内に総収益の20%、5年以内に30%を占めると見込んでいます。広告モデルからの転換となるでしょうか。提供予定のプランは「デジタル読み放題」「デジタル+紙」「デジタル+紙+プレミアム動画」の3種類と報じられています。

英「Economist」と「Financial Times」は、自社のYoutubeチャンネル購読者を記事のサブスクリプションにつなげるべく模索しています。長尺の動画がエンゲージメント向上に効果を発揮することはすでに報じられていますが、今後はYoutubeを始めとしたプラットフォームに抱え込んだ視聴者をいかに記事へと誘導し、有料購読させるかが鍵になりそうです。具体的なマーケティングデータも明かされており、動画戦略を考える上でたいへん有益な記事です。

2019年の第3四半期におけるエンゲージメントデータをもとに、2020年に向けた展望を解説した記事です。モバイルデバイスの利用率の伸びと、世界各地の平均エンゲージメント(滞在)時間が比較されています。デバイスの特性を踏まえながら、回遊率を高めてエンゲージメント時間を伸ばすための施策が肝要です。本文には記事エンゲージメント分析ツール「Chartbeat」のデータが使われています。

3.国内パブリッシャーの最新ニュース

前号のニュースレターに引き続き、既存のコンテンツの枠組みにとらわれないメディアの取り組みが報じられました。

<PICK UP>

2019年12月6日、メディアジーンは分子生理化学研究所と医師と共同でサプリメントのサブスクリプションサービスを開始しました。サービス開発にはメディアジーンが擁するウェルネス・メディア『MYLOHAS』が培ってきた医師・専門家への取材や記事発信のノウハウが活かされているそうです。メディアのブランドとノウハウを生かして新事業を開発した事例として、今後の展開が楽しみですね。

2019年11月27日、ハースト婦人画報社は、マンション紹介サービス「R100 TOKYO」のオウンドメディア立ち上げ支援のプロジェクト始動を発表しました。同社のソリューションサービスの一環として、メディアのコンセプト設計、コンテンツ制作、ウェブサイト構築を手掛けたそうです。パブリッシャーが持つコンテンツの制作・編集力やネットワークを強みに、広告コンテンツにとどまらないサービスメニューを提供している例といえるでしょう。

<その他の注目ニュース>