先をゆくニューヨーク・タイムズ、追いかける各社のサブスクリプション戦略(2020/8/17)

Sep 3, 2020 3:09 PM (GMT+9)

こんにちは、株式会社キメラです。私たちは出版社・新聞社や放送局といったパブリッシャーに対し、メディアビジネスをグロースするための課題解決やデジタル化を支援している会社です。

弊社のニュースレターでは、パブリッシャーの方々に向けて国内外の注目ニュースをご紹介するほか、キメラの最新動向を隔週でお届けしています。

1. 先をゆくNYT、追いかける各社のサブスクリプション戦略

米ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、全世界のパブリッシャーのなかでデジタル化がもっとも進んでいると言えるでしょう。同社はパブリッシャー業界内でも動向に注目が集まりますが、新CEO発表や事業内容に関連する報道がこの1か月で数多くありました。NYTに新たなサブスクリプションサービスの動きがあるなか、他のパブリッシャーもサブスクリプション購読者を増やし、パブリッシャーをまたいだ複数メディアのセット契約「バンドルプラン」を投入しています。

<ニューヨーク・タイムズ>

現COOのレディス・コピット・レビアンがCEOに就任します。2012年からNYTのデジタルシフトを指揮してきたマーク・トンプソン現CEOの後を継ぎます。レヴィアン氏は『最高経営責任者として、同社の戦略である「購読を第一とするジャーナリズム」を引き続き拡大していく』と抱負を述べています。

読者からの直接収益は、広告収益などを含む全体収益の60%、有料購読者は600万人など、同社の現在の事業数字を明らかにしています。

新型コロナウイルスの影響で高級ブランドの広告出稿が控えられ、4~6月の広告収入は半減。現在の部数なら、広告収入が仮になくても紙の新聞発行で利益を上げられる。しかし、長期的には維持が難しい、という見通しからの現CEOマーク・トンプソン氏の発言です。

広告収益の大幅な減少という市場環境の中、NYTは潤沢な現金でポッドキャスト事業者を買収したあとでもまだ余裕があるとのことです。

NYTが2016年に買収した、アフィリエイト収益モデルの商品レビューサイト「Wirecutter」のサブスクリプション化を模索していることがLinkedInの投稿から明らかになりました。NYTのサブスクリプション購読者は600万人ほどですが、その3分の1が料理やクロスワードなど非ニュースサービスの購読者です。非ニュース購読者のさらなる拡大を狙います。

<サブスクリプション>

英米豪の6メディアのサブスクリプション契約者数が表でまとまっています。いずれも2019年12月〜2020年6月比で5〜30パーセント増加していますが、収益ベースでは軒並み減少しています。

地方メディアがサブスクリプション事業を拡大するため、NYTと同様に圧倒的なコンテンツ量を用意するのは現実的ではありません。この記事では、米シアトル・タイムズが米ワシントン・ポストと組み、コンテンツ提供を受け、講読料収入を分配するモデルを紹介しています。

2016年の中国アリババ買収後にペイウォールを廃止していましたが、ウェブとアプリにメーター制ペイウォールを再導入します。

■米ブルームバーグ・メディア、『The Athletic』セットのサブスクリプション提供へ(英文)

複数のサブスクリプションメディアをセットで契約できる「バンドルモデル」の動きがあります。ブルームバーグのメディアは、2020年2月に米インフォメーションがバンドルモデルをテストしていました。

2. ニュース記事の閲覧体験はさまざま

<スマートフォンアプリ>

日本経済新聞社が2020年7月30日に新ニュースアプリをリリース。iPhone、iPad版のみで日経電子版有料会員だけが利用できます。同社はニュースリリースなどで特に発表していませんが、タイムライン形式を採用し、「動画ビュー」でもニュースを“読める”、他メディアのRSSを読み込める――など、パブリッシャー発ニュースアプリとして新機軸を打ち出しています。

毎日表示される10記事のカードから好みの記事を選ぶと、「やりたいこと」が表示される新感覚メディアアプリです。UI/UXが斬新なので「新たなメディア体験」設計のヒントになるかもしれません。

<ソーシャルメディア>

■Z世代はInstagramで見たものを覚えていない? エスノグラフィ×アンケートでZ世代を理解

20代以下の若い世代はウェブメディアよりソーシャルメディアの利用率が高く、半数以上がソーシャルメディアを日常的に使っています。その若い世代で人気のInstagramの利用実態をレポートした記事が興味深いです。

調査元の米ピュー・リサーチ・センターは「ソーシャルメディアでニュースを主に入手している米国人は、関与度が低く、知識も少ない」というタイトルで発表しています。一方で、割合が最も多いのは、ニュースを主にウェブサイトやアプリから得ている人で「高い政治知識」とのこと。自社メディアでニュースを読ませる工夫が、パブリッシャーに求められているといえるでしょう。

3. 海外パブリッシャーの注目ニュース

4. 国内パブリッシャーの注目ニュース